つながりを表す紙の人形

18-4 「夫は妻の味方」が鉄則!義理の家族問題から夫婦の絆を守る方法

18-4 「夫は妻の味方」が鉄則!義理の家族問題から夫婦の絆を守る方法

結婚は、異なる背景を持つ二人が一つの新しい家族を築き上げていくプロセスです。その過程で、多くの夫婦が直面する大きな課題の一つに「義理の家族との関係」があります。特に、妻と夫の母親との関係は、古くから多くの物語やジョークの題材にされてきましたが、当事者にとっては笑い事では済まされない深刻な問題となり得ます。

今回は、臨床心理学者ジョン・ゴットマン博士の研究に基づき、この根深い問題の核心と、夫婦の絆を守るための具体的な解決策について、心理学的な観点から解説していきます。

問題の核心は「私たち」という意識の確立

義理の家族との対立、特に妻と姑との間で起こる緊張の多くは、単なる性格の不一致や価値観の違いだけが原因ではありません。ゴットマン博士によれば、その根本には夫の「愛情」と「忠誠心」をめぐる、二人の女性による無意識の綱引きが存在します。

妻は「あなたは本当に私の家族なの?」と感じ、夫の母親もまた「息子はどちらの家族の一員なのか」と問いかけています。この状況で、多くの夫は板挟みになり、「どちらも大切だ」「なんとか仲良くやってほしい」と願い、仲裁者や調停役として振る舞おうとします。しかし、この態度は問題を悪化させるだけだと、ゴットマン博士は指摘します。

結婚における最も重要な心理的発達課題の一つは、夫婦が**「“we-ness”(私たち意識)」**を確立することです。これは、自分たちが「親の家族」から独立した、新しい一つのチームであり、運命共同体であるという意識を育むことを意味します。義実家問題は、この「私たち意識」が試される最初の、そして最も重要な試練なのです。

解決の鍵は、夫が妻の「味方」になること

この困難な状況から抜け出すための唯一の解決策は、驚くほどシンプルです。それは、**「夫が妻の側に立つ」**ことです。

これは、自分の母親をないがしろにしたり、親子の縁を切ったりすることを意味するのではありません。そうではなく、「自分はまず夫であり、その次に息子である」という優先順位を明確にし、夫婦という新しい家族ユニットが他の何よりも優先されるべきであるという**「境界線」を引くこと**が求められるのです。

この境界線を引くという行為は、夫にとって非常に勇気がいることかもしれません。母親を傷つけるのではないか、親不孝だと思われるのではないかと不安に感じるでしょう。しかし、このステップこそが、健全な夫婦関係を築くための絶対的な基盤となります。

× 悪い夫の対応例

妻:「お義母さんたら、また私の仕事のやり方に口出ししてきて…」

夫:「まあまあ、お母さんも悪気はないんだよ。君のためを思って言ってるんだから。(仲裁者になろうとする)」

→ この対応は、妻を孤立させ、「この人は私の味方ではない」と感じさせてしまいます。

〇 良い夫の対応例

妻:「お義母さんたら、また私の仕事のやり方に口出ししてきて…」

夫:「そうか、嫌な思いをさせたね。お母さんには、僕たちのやり方を尊重してほしいって、今度僕から話しておくよ。(明確に妻の側に立つ)」

→ この対応は、妻に安心感を与え、「私たちは一つのチームだ」という”we-ness”を強化します。

カウンセリング事例:デビッドとジェイニーの「オッソ・ブーコ危機」

ゴットマン博士のカウンセリングを受けた、デビッドとジェイニー夫妻の事例は、この原則の重要性を象徴しています。

ある週末、ジェイニーはイタリア料理好きの義理の両親を、お気に入りのレストランに招待する計画を立てていました。しかし、帰宅すると、夫のデビッドの母親が、デビッドの大好物である「オッソ・ブーコ(牛すね肉の煮込み)」を台所で作っていたのです。

デビッドはジレンマに陥りました。母親の料理を食べれば、楽しみにしていたジェイニーを裏切ることになる。レストランに行けば、母親を深く傷つけることになる。この一見ささいな出来事が、夫婦の転機となりました。

デビッドは意を決し、母親に感謝を伝えつつも、「その料理は明日いただくよ」と告げました。そして、「今夜は、ジェイニーと僕たち夫婦がいつも楽しみにしているレストランで、両親をもてなしたいんだ。それが僕たちにとって大切なことなんだ」と、夫婦の文化を優先する姿勢を明確に示したのです。

母親は当然、気分を害しました。しかし、デビッドが自分の味方をしてくれたことで、ジェイニーは心からの喜びと安堵を感じました。彼女は後に、「あの時、私たちの本当の結婚が始まった」と振り返っています。デビッドが「妻が第一、母はその次」というメッセージを母親に伝えたことで、二人の間に確固たる「私たち意識」が生まれたのです。

夫婦の絆を守るためには、配偶者への敬意を傷つけるような言動を、たとえ親からであっても容認しないという姿勢も不可欠です。夫は、妻を外部の批判から守る防波堤となる必要があります。

義理の家族との問題は、避けては通れない道かもしれません。しかし、それは夫婦が「私たち」という最強のチームを築くための大切な機会です。夫が勇気を持って妻の側に立ち、二人で一貫した態度で境界線を引くこと。それこそが、長期にわたって続く幸福な結婚生活の礎となるのです。

更新日: 2026年1月10日

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