14 原則4「パートナーの影響を受け入れる」- 幸福な結婚の81%を決定づける男性の役割
心理学研究の世界へようこそ。この記事では、数多くのカップルを科学的に分析してきたジョン・M・ゴットマン博士の研究から、特に重要な「原則4:パートナーの影響を受け入れる」について掘り下げていきます。博士の研究によれば、この原則は結婚生活の幸福度を左右するだけでなく、男性が妻の影響力を拒絶した場合、その結婚が破綻する確率は81%にものぼるという衝撃的なデータが示されています。これは決して「夫は妻の言いなりになるべきだ」という話ではありません。むしろ、お互いを尊重し、意思決定の真のパートナーとなるための、心理学的な知恵についてのお話です。
「勝つために譲る」という逆説的な知恵
想像してみてください。あなたは中古車を購入しようとしています。魅力的な車ですが、あなたは妻に「買う前に必ず整備士に見せる」と約束しました。しかし、売り手は「新品同様だから大丈夫」と購入を急かします。
× 良くない選択: 売り手の言葉を信じ、妻との約束を無視して購入する。「男の決断に口出しするな」という態度。
〇 良い選択: 「妻と約束したので」と伝え、整備士の点検を受ける。結果、サスペンションに高額な修理が必要だと判明し、購入を見送る。
この選択の違いは、単に良い買い物ができたかどうか以上の意味を持ちます。後者の夫は、妻を意思決定における対等なパートナーとして尊重しています。彼は妻の意見や感情に価値を置き、夫婦というチームとして判断を下しているのです。ゴットマン博士は、このような姿勢を「勝つために譲る(yielding to win)」と表現しています。一見「譲っている」ように見えても、長期的には夫婦関係という「勝利」を手に入れるための、最も賢明な戦略なのです。
影響を受け入れない夫が見せる「抵抗のサイン」
では、夫が妻の影響を受け入れていないとき、具体的にどのような行動が見られるのでしょうか。ゴットマン博士の研究では、妻が不満や問題を提起した際に、夫が**「四騎士」と呼ばれる破壊的なコミュニケーション**で応酬するパターンが浮かび上がりました。
ある夫婦の例を見てみましょう。妻のマーサは、週末に自分の母親が訪ねてくるため、夫のチャドに家の掃除を手伝ってほしいと頼みました。
妻マーサ: 「週末にお母さんが来るから、家の掃除を手伝ってほしいの。あなたの協力が必要よ。」
これに対する、影響を受け入れない夫の典型的な反応がこちらです。
× 批判: 「君はいつも計画性がないな。もっと早く言えよ。」
× 防御: 「こっちだって仕事で疲れてるんだ!なんで俺がやらなきゃいけないんだ?」
× 侮辱: 「どうせ君の母親は、俺のやることなすこと全部に文句を言うんだろ。時間の無駄だ。」
× 逃げ出し(Stonewalling): 何も言わずにテレビをつけたり、部屋を出て行ったりして、話し合いそのものを拒絶する。
これらの反応に共通しているのは、マーサの「手伝ってほしい」という要求の核心(メッセージ)ではなく、彼女の感情や要求そのものを攻撃している点です。彼は彼女の意見を尊重せず、自分の立場を守るために四騎士を呼び出しているのです。このような反応が繰り返されると、妻は「この人には何を言っても無駄だ」と感じ、二人の心はどんどん離れていってしまいます。
夫は妻から何を学べるのか?
幸福で安定した結婚生活を送る夫たちは、生まれつき感情の扱いに長けていたわけではありません。彼らはただ、結婚生活において最も重要なことは、パートナーに敬意を払い、大切にすることだという、極めてシンプルで根源的な真実を理解したのです。
まとめ
妻の影響を受け入れるということは、彼女の意見に耳を傾け、感情を尊重し、力(パワー)を分かち合うことです。それは、あなたの人生という船の舵取りを、信頼できる副船長と共に進めていくことに他なりません。この原則を実践することで、あなたの結婚はより強く、より深い友情で結ばれたものになるでしょう。
まとめ
- 男性が妻の影響力を拒絶すると、結婚が破綻する確率81%
- 「勝つために譲る」姿勢が長期的な関係の成功につながる
- 感情的知性(EI)を高め、パートナーの視点を理解しよう
- 「四騎士」で応じず、相手の要求の核心に耳を傾けよう
- パートナーを「感情の先生」として学ぶ姿勢が大切
参考文献
“The Seven Principles for Making Marriage Work”, John M. Gottman, Ph.D., 1999
更新日: 2026年1月7日


